— SOVEREIGN ONE —

「転記の伝言ゲーム」が生む損失

システム入力済みのデータをわざわざ紙に印刷し、手渡しでまた転記する——大手人材派遣会社の一部署で見た非効率の実態と、人件費換算での損失試算を解説します。

「転記の伝言ゲーム」が生む損失
SOVEREIGN ONE読了 約2分
01

Chapter 1

「転記の伝言ゲーム」が起きていた部署

先日、大手人材派遣会社の一部署にお伺いする機会がありました。社員7名・アルバイト33名、計40名ほどが所属するその部署では、勤怠・シフトのデータを一度システムに入力したあと、わざわざ紙に印刷し直し、担当者間で手渡ししながら別のシステムやExcelへ再入力する、という工程が日常的に行われていました。

受け渡しのたびに内容を口頭で確認し合うため、途中で数字や条件が微妙に変わってしまう——まさに「伝言ゲーム」のような状態です。誰か一人が休むと工程全体が止まってしまう、という属人化も併発していました。

01

転記

同じ情報を何度も入力

02

印刷

システムのデータをあえて紙に戻す

03

伝言化

手渡しのたびに内容が変わる

02

Chapter 2

人件費換算で試算すると

この転記・確認・印刷作業の主な担い手はアルバイト33名でした。時給¥1,100換算で、1日あたり2時間程度をこの作業に使っていたと仮定して試算してみます。

33名×¥1,100×2時間×20日×12ヶ月で、概算約1,742万円の人件費相当が、付加価値を生まない作業に使われていた計算になります。※あくまで試算であり、実際の人員削減を保証するものではありません。

対象人数

33名

アルバイトスタッフ分のみで試算

1日あたりの作業時間

2時間

時給¥1,100換算

概算合計

約1,742万円/年

解放できる可能性がある人件費規模感

03

Chapter 3

なぜこの非効率が温存されるのか

組織が大きいほど、この非効率は温存されやすい傾向があります。今のやり方がベテランの経験に基づいて出来上がっているため、「なぜ紙に印刷するのか」を誰も疑問視しなくなります。

変更には現場の反発や移行コストのリスクが伴うため、大手ほど手をつけにくい構造があります。逆に中小企業は組織が小さい分、意思決定から実行までの距離が短く、小さく試して検証しやすいという強みがあります。

大手にありがちな理由
中小企業の強み

前例踏襲で疑問視されない

→

1業務から気軽に試せる

変更リスクを恐れる

→

現場の声がすぐ届く

決裁に時間がかかる

→

小回りが利く

04

Chapter 4

小さな部署でも同じ構造は起きる

40名という規模でなくても、5名、3名の部署でも「入力→印刷→また入力」という同じ構造は起こり得ます。規模の大小に関わらず、"紙に戻す"工程が一つ挟まるだけで、そこに伝言ゲームと属人化が発生します。

弊社では、こうした業務を丸ごと変えるのではなく、最も時間のかかっている1工程から自動化を試し、効果を確認しながら範囲を広げる進め方をとっています。

01

01 洗い出し

転記・印刷が発生している工程を特定

02

02 小さく着手

最も時間のかかる1工程から自動化

03

03 拡張

効果を確認しながら範囲を広げる

05 / FAQ

よくある質問

Q01なぜこんなに大きな企業でも紙の運用が残っているのですか?
A.

今のやり方がベテランの経験の積み重ねで出来上がっており、誰も疑問視しなくなるためです。組織が大きいほど変更に伴う現場の反発や移行コストのリスクを恐れ、手をつけにくくなる傾向があります。

Q02この損失額はどうやって計算していますか?
A.

転記・確認・印刷作業を主に担っていたアルバイト33名分について、時給¥1,100・1日2時間をこの作業に使っていたと仮定し、8時間ではなく実際の作業時間ベースで年間換算した概算です。実際の人員削減を保証する数字ではなく、解放できる可能性がある人件費規模感の試算としてご覧ください。

Q03中小企業でも同じような非効率は起きますか?
A.

はい。規模に関わらず、システム入力済みのデータを紙に印刷し直して再入力する工程が一つでもあれば、同じ構造の非効率は起こり得ます。まずは自社のどこにその工程があるかを洗い出すところから始められます。

Q04自動化するとどこまで人員を圧縮できますか?
A.

業務内容や現状の工程数によって変わります。まずは現状のフローをヒアリングし、最も時間のかかっている工程から試算することをおすすめします。